アイツの空 ９

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「ほんまお前、
感情だだ漏れやん」

しんちゃんにもからかわれてるし。


そっからは。


藤沢社長が、
しんちゃんをヘッドハンティングいうん？
うちの社に移って欲しいって話、
始めはって。


しんちゃんも、迷ってるみたいや。


「帰って、奥さんに聞いてから」

言うから。


つい、ぷってなってもうたし。


結衣には頭が上がれへんねん。








帰りのタクシーの中。


「A、仕事辞めるんか？
今、辞められると困るて、
谷崎編集長がぶちぶち言うから、
結衣もなかなか辞められへんねん」


しんちゃんがAに、
質問とも愚痴とも取れること言うてる。

そんな大事なこと、なんで俺より先に聞くねんな。


「結衣ちゃん、仕事辞めたいの？」

Aが聞き返したら。


しんちゃん、言葉に詰まってるねん。


「そうやないけど。
俺は辞めて欲しいねん」


なんやねん、それ。


「結衣が辞めたないんなら、
続けさせたらなあかんやん」

つい口出ししたら、
どつかれた。


「あいつ、自立せなてムキになってるから。
無理させたないねんて。
まだ凛にも手ぇかかるし。
また身体壊したら思うと。
心配で出張にも行かれへんやろ」


うわあ。


愛や。


どんだけ惚れてるねん。


「結衣ちゃん、
そんなヤワじゃないから大丈夫だよ。
時短勤務とか対応してもらえるよう、
私からも谷崎さんに頼んであげる」

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