アイツの空 ９

１０ ページ38

「俺、独立することになってん」

て。


あんまりのことに、びっくりや。


まあでも、しんちゃんならありえる話かなあと思ってた。


あの後、藤沢社長の誘い受けて、転職して。


投資の方も、仕事も、
バリバリやってな。

独立資金貯めて。


「藤沢社長のバックアップなかったら、
実現しいひんかったと思うわ。
それで俺な・・・
来年の春には、大阪に帰ろう思うてるねん」


青天の霹靂や。


俺もな、関西忘れたわけちゃうで？


お風呂でこっそり、
空にも関西弁教えてるし。


けど、仕事の拠点がどうしてもこっちやもんな。


関西のローカル局で一本レギュラー番組持たせてもうてるから、
月に２回は実家に泊まりで帰ってはいる。

Aと空も連れてってたけど、
空が幼稚園入ったら行かれれへんなってもうてん。


「結衣は？ええん？」


結衣、Aとキッチンにおるから、
しんちゃんに聞く。


「ええって言うてる。
大和は大学生やしな。
今のマンションに住んどくって。
凛はちょうど高校出るから、
ついてくるらしいわ。
あいつ、寂しがり屋ねん」

かっかって笑ってる。


相変わらず、しんちゃんは懐がでかい。


ちょっと寂しいけど、しょうがないよな。


「応援するわ。
仕事でしょっちゅう大阪行くから、
また会いに行くから」


俺、変なこと言うてないのに。


「お前はほんまいつまでも女子みたいなヤツやな」

て、ちょっと呆れるねん。


しんちゃんの女子の基準が分かれへんわ。

１１→←９

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す