アイツの空６ (ページ39)

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「今日、仕事終わったら、俺の部屋来て？
あかん、部屋知らんやん。
俺が行ってもええ？
まだあの部屋住んでる？」

「うん。
まだ同じマンションにいるよ。
会いに来てくれる？」

不安そうに聞くから。

愛しさ、
胸のメーター振り切れてもうて。

思わずもういっぺん、抱きしめたら、
Aが華奢でちっこい肩、きゅって震わせた。

懐かしい、甘くて優しい匂いが、
胸をいっぱいにする。

「あほやな。
なんも不安にならんでええねん。
絶対に行くから」

目ぇ見て、よしよししたら、
やっと少しはにかんでくれた。

俺の大大大好きな可愛い笑顔。

「待ってる。
仕事頑張ってね」

「Aも。
仕事、忙しいやろ？」

「今日は早く帰れるから・・・」

潤んだ目で俺を見るから。

もっとこうしていたくなる。

あかん。

いつまでたっても行かれへんやん。

A先輩は、俺よりずうっと大人で。

いつも余裕で、
俺のこと手のひらで転がしてるように見えてたのに・・・

今にも泣き出しそうな顔してるねんもん。

さっき、俺を好き、言うてくれた時も、

消えてまいそうな雰囲気やった。

離れてた間に、
こんなに不安にさせてもうてんな。

Aに、
あんなに無理して、強がって、
別れを決めさせたこと。

ほんまに悔やんでる。

俺から切り出すべきやってん。

夢叶えて、
全部クリアして。

迎えに来たら良かっただけ。

やから、離れてても俺は信じてた。

絶対的な自信があってん。