アイツの空６ (ページ37)

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「覚えててくれたの？」

「当たり前やん。
多分、あの時から、
こうなること、決まってた気がするねん・・・」

こうなること？

びっくりして章大を見上げた私に、
優しく微笑む。

「章大・・・
私ね」

なんて言えばいい？

「ん？」

章大が私の顔を覗き込む。

「あのね・・・」

伝えたいことはキリがないほど、
たくさんある。

だけど・・・

それをたった一言で伝えるなら。

「章大が好きです」

・・・言えた。

言えたけど。

「え・・・」

章大はぼんやりしてて、
何にも答えてくれない。

唐突だったかな。

前置きとか出来なかった。

こんな歳になって、
告白すら出来ないなんて。

だいたい、大人なのに、
こんな告白の仕方、
ないよね・・・

また会いたい、とか、
やり直したいとか、

もっとマイルドに食事に行こうとか、

いろいろあるのに。

「あの、ごめんね。
勝手なの分かってるの。
自分からあんな風な別れ方したくせに。
今更ムシが良過ぎるのも。
でも伝えたくて・・・」

泣きそう。

何か言って。

沈黙が耐えきれなくて。

逃げ出したいって思った時。

不意に、手を取られた。

ぎゅってつなぐ。

びっくりして見上げたら、
章大が照れくさそうに笑ってた。

「俺もAが好き。
それを言いに来てん。
先越されてもうたけど・・・」

優しく囁いて・・・

きつく抱きしめてくれた。