アイツの空６ (ページ36)

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ビルの外に出たら、
雨が降り出した。

慌てて、軒下に戻る。

あいにくの夕立みたいで、
雨足は強くなる一方。

坂本さんが慌ててビルの中から出て来て。

「お嬢様。
そろそろ撮影も終わりますので、
お車でお送りします」

そう言う。

撮影を待ってれば、
重盛さんの車で帰れるんだけど・・・

「大丈夫。
すぐ、やみそうだし・・・
傘持ってるし歩いて帰ります」

お辞儀して、雨の中へ飛び出した。

傘を差してても、
叩きつけるような雨に肩が濡れる。

でもほんの短い間で、
雨は上がった。

社に戻る前に、少しだけ遠回りして。

歩道橋を歩く。

前にここから章大と虹を見た。

今日ならまた見られる気がして・・・

歩道橋の真ん中まで来て、立ち止まって。

雨上がりの遠くの空を眺める。

空に綺麗な七色の架け橋。

「・・・見えた」

思わず呟いた時。

「・・・間に合った」

すぐ近くで章大の声が聞こえた。

振り返ったら、

雨に濡れた歩道橋の階段を、
息を切らして、駆け上がって来る。

「章大・・・
虹。かかったの・・・」

空を指差したら、
章大が空を見上げて。

それから、私のところへ駆け寄って来た。

「ほんまや・・・
あの日と同じ・・・」