アイツの空６ (ページ4)

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今、私を選んで夢を捨てたこと。

章大はきっと生涯後悔して生きてく。

優しいから、見せないままで・・・

苦しむんだ。

それだけは嫌。

「だから、
女のために生き方変えるような、
そういうやわなとこ、
嫌いなの。
言ったでしょ？
音楽やってない章大には興味ないって」

「嘘や・・・
そんなん、嘘に決まってる・・・」

章大の綺麗な目から涙がこぼれ落ちてく。

私の手首をあんまりきつく握りしめるから。

「痛いよ・・・
もう離して」

本当はずっと痕が残るまで、
握りしめてて欲しかった。

「短い間だったけど楽しかった。
ありがとう。
章大には感謝してるよ」

最後にどうしても、ありがとうだけ、
言いたかったんだ・・・

章大、大好きだよ。

こんなに好きになったのは、
章大だけ。

これからもきっと・・・

章大は年内で出版社を退職した。

それからのことは何にも知らない。

あのマンションを出て、
バンドに戻ったことしか。

章大の復帰以降、
クロスザスカイの宣伝がすごくて、
テレビで見ない日ないくらい。

亮くんと章大を気に入った叔父が、
男性化粧品のCMに抜擢したのも大きい。

だけど私には関係ないこと。

CM撮影見に来ないか？って叔父に聞かれたけど、
行かなかった。

行ったらまた、同じことの繰り返しになるだけ。

好きだって、言わずにいられなくなるの、
分かってたから・・・

季節が動いて、春がやって来て。

桜が満開の季節。

シンゴの部屋で、
久々の飲み会。

訪ねてみたら、
本当に結衣ちゃんと、
結衣ちゃんの弟と妹が一緒だからびっくりした。