アイツの空６ (ページ29)

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「坂本さん。
あの・・・
今日はその、お嬢様っていうの、
なしでお願いします」

こそこそ耳打ちする。

「ではなんとお呼びすれば？」

「紺野さんとか、Aさんとか、
記者さんとか、何でもいいですから」

「でもそれめは、
社長にお叱りを受けてしまいます」

押し問答してるところに、
結衣ちゃんがやって来た。

「すいません。遅れましたか？」

「いえ。
まだ時間より１０分ほど早いです。
新商品はもちろん、
従来商品も揃えております」

水上さんが、
結衣ちゃんにお辞儀した。

章大に会えるのが嬉しくて、
私が早く来過ぎたみたいじゃん・・・

会えるのは、
今日で最後だよね。

そんなに都合良く、一緒の仕事なんてないし・・・

最後だから。

一番、綺麗な自分で章大に会いたい。

「こちらです」

水上さんに続いて、
会議室に入ってく。

重盛さんが先にもう来てて、
一通り、商品の写真は撮り終わってた。

すぐにドアがノックされて。

叔父に連れられた、クロスザスカイのメンバーが入って来た。

章大が私たちに、
ペコンてお辞儀した。

それだけなのに。

胸がドキンて高鳴る。

水上さんが、
スライドを使って、
新商品の特徴や、
効果的なシャンプーやトリートメントの仕方について、
簡単な説明をしてくれた。