アイツの空６ (ページ27)

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背中にそう問いかけられた。

振り返るのが怖い。

シンゴが傷付いた顔してる気がして・・・

ビルの中に入ったら、
結衣ちゃんが、
階段の壁にもたれて、
私を待ってた。

・・・シンゴを？

「取材、ウィステリアの本社の会議室で、
１３時始まりに変更です」

それを伝えに来たわけじゃないの、
分かってる。

「ありがと。
じゃあそれまでに別件片付けてくる。
現地集合でいいよね？」

そう答えて、歩きかけたら。

結衣ちゃんが私の腕を掴んだから。

びっくりして、息を飲む。

まっすぐに私を見つめてる。

「早く、・・・章大先輩のとこに戻って下さい。
じゃないと・・・
編集長、いつまでも、辛いから・・・」

戻れるなら、戻りたい。

出来ないから苦しいの。

「ごめんね・・・
あいつ、鈍感なんだよ。
本当はもう私のことなんか、
なんとも思ってないのに。
自分で分かってないだけ。
いやでもそのうち気付く。
誰が一番大切なのか・・・」

結衣ちゃんの目が揺れてる。

シンゴが戻って来る前に行かなきゃ。

「上にいるから。
行ってあげて」

結衣ちゃんの背中を押して、
階段を駆け下りて来た。

一番下まで降りて、
角を曲がって。

立ち止まった時。

「なんで結衣がここにおるねん」