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「なんで慌ててんの？
変なシンゴ」
無理して強がって笑った時。
急に強い力で引き寄せられて。
抱きすくめられた。
びっくりして、声も出ない。
「あん時。
ショータんとこに行かせるんやなかった。
力づくでも俺のもんにしといたら。
こんなに泣かせへんかったのに・・・」
切ない声でそう呟く。
振りほどかなきゃいけないのに・・・
シンゴのぬくもりに、
もう折れそうだった心が、
溶けてく気がした。
「俺んとこに戻ってこいや。
あの医者とも終わったんやろ？」
シンゴが私の顔を覗き込む。
「あのお医者さんとは始まってもなかったし・・・シンゴとも戻るような何か、なんもない・・・」
見上げて、そう言ったら、
がははって八重歯見せて笑う。
「細かい事実確認はええねん。
辛いんやったら、
俺んとこ来たらええ、言うてんねん」
「シンゴ、慈善事業が趣味なの？」
結衣ちゃんのこと、気になってるんでしょう？
なのに、私のこともほっとけない。
そういうどっちつかずの態度、
シンゴらしくない。
「ああ、もお。
お前は。
なんでそない可愛い気ないねん。
好きな男にもいっつもそんな態度なんか？」
答えるのが難しい質問ぶつけてくる。
章大といる時の私は、きっといつもとは違うから。
「それは・・・
想像に任せる。
そろそろ行くね。
今日も取材だから・・・」
そう答えて、
シンゴの腕をすり抜けて、
歩き出したら・・・
「・・・想像やなくて。
知りたい。
俺を好きにさせたい」
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作者名：fool x他1人 | 作成日時：2017年8月28日 16時
