アイツの空６ (ページ25)

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今更なのに・・・

編集部でもその話題で持ちきり。

男性陣はみんな、

沙羅ちゃんと付き合えるなんて、
章大も出世したよな、羨ましいって。

それに、沙羅ちゃんが結衣ちゃんに似てるから、
やっぱ、タイプって変わんないんだなとも。

屋上に逃げて来たら。

すぐに重いドアが開いた。

一人になりたかったのに。

つかつかこっちに向かって来たのは、シンゴ。

「お前、なんでそんな無理に笑てんねん」

最初にそう言って。

私のほっぺたを引っ張ってくる。

無理して、笑ってないと、
人前でも泣いちゃいそうなんだ。

そんなの社会人として、失格だから。

鉄の鎧ならぬ、笑顔を貼り付けてんの。

「そお？
無理してるつもりはない」

シンゴに強がり言っても、
見抜かれる。

「お前、俺ら、何年の付き合いになると思てんねん。あほか。
だいたい、なんで別れて数ヶ月にもなんのに、
直後よりも今のが悲しいねんな？」

最初の方、いつもと同じ口調だったのに、
最後、すっごく優しい言い方するから。

不覚にも涙があふれてきた。

「ああ、悲しかったら、
ごおごお泣いたらええねんて、
言いに来たのに。
ほんまに泣かれたら困るやんけ」

シンゴがおろおろし出した。