アイツの空６ (ページ23)

今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:226,744 hit

８３ページ23

章大に甘えたくて・・・

章大、少し驚いた目で私を見てるだけ。

「帰るんなら、眠らない。
そばにいて欲しい・・・」

好きなの。

大好き。

今だけでも・・・

私を好きって言って。

安心させて・・・

章大が優しく微笑んだ。

「ううん。
ずっとここにおるで？
明日の仕事まで」

そう言ってくれたら、
魔法にかけられたみたいにほっとして・・・

すうって眠りに落ちていった。

もう、離れたくない。

結婚なんか出来なくてもいい。

邪魔にならないようにするから。

章大のそばにいさせて・・・

大好きなの。

大好き。

だから行かないで。

夢の中で何度も叫んでた。

明け方、目が覚めたら、章大はいなくて。

メモ書きだけ残されてた。

『おはよお。
マネージャー迎えに来たから、
もう行くな。
ごめんな。
顔色だいぶ良くなって安心した。
一応、叔父さんに連絡したら、
お母さんが迎えに来てくれはるって。

A、無理したらあかんで？
心配になるから。

昨日は俺の作った曲、聴いてもらえて、
めっちゃ嬉しかった。

ありがとう』

どこにも、私を好きなんて書いてない。

一度も声にして言ってくれなかった。

もうなくしちゃったんだ。

喉の震えが止まらなくなる。

嗚咽が溢れて・・・

自分のものじゃないみたいな金切り声をあげて、泣いた。

胸を半分に引き裂かれたような痛みが走る。

別れた時よりもずっと悲しい。

悲しくて・・・

深い淵まで落ちてく。

もう二度と笑えない気がしてた。