アイツの空６ (ページ21)

今日:31 hit、昨日:0 hit、合計:226,769 hit

８１ページ21

優しく叱られた。

今の私。

綺麗になんて、思われるわけない。

顔色は青ざめてるだろうし、
こんなに冷や汗が出て、メイクも落ちてるはず。

「着替えよか？
そんなカッコやったら苦しいやろ？」

章大の話し方。

まるで子供に言い聞かしてるみたい。

「うん。
何か着替えるものあるのかな・・・」

「ちょっと待ってや。
こういうええホテルには、
大抵バスローブがあるはずやん」

部屋のクローゼットやバスルームををガサゴソしてた章大が戻って来た。

「あったで。
お風呂も入る？」

聞きながら、私にバスローブを差し出す。

生理だからお風呂は無理だ。

シャワーは浴びたいけど、
章大がいるから、
なんとなく・・・

それにもうとにかく身体が重い。

早く横になりたい。

「ううん。
ちょっと辛いからお風呂はやめとく。
着替えるからあっち向いてて」

何度言っても、
前は悪びれずもせずに、
私の着替えやシャワーをこっそり見てたっけ。

好きだって伝え合ったら、
遠慮なんて全くなくて。

すぐに胸の一番奥まで踏み込んできた。

ジェットコースターみたいな章大のペースに巻き込まれて。

幸せだった。

章大が、

「分かった」

そう言って、
背中を向けた。

もう前とは違う。

本当に振り向かないの。

関係が変わっちゃったのが悲しい。

私のこと、どう思ってる？