アイツの空６ (ページ19)

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部屋の鍵が回る。

立ってるのも辛い私を、
ソファに座らせてくれた後。

「もしかして、生理？」

淡々と聞いてくる。

相手はお医者さんだし、
素直に、

「はい」

って答えた。

鎮痛剤を飲ませてくれて。

トイレに行ったら、
腹痛は少しは落ち着いた気がするけど。

頭ががんがんしてる。

腰も重くて、
身体も鉛みたいに重い。

こんなに酷いの、久しぶりだ。

章大と別れた後、生理も不順で、
数ヶ月に一度しか来てない。

「少し落ち着いた。
ありがとう・・・」

私の言葉には答えずに。

清水先生が、

「あの彼、呼ぼうか？」

そう言ったの。

見たことないような、切ない顔してて・・・

胸が痛む。

「亮くんは・・・
彼じゃないの」

まだ勘違いしてるのかなって。

なのに・・・

「亮くんじゃなくて。
もう一人、ギター弾いてた・・・
安田くんだった？
あの子でしょ？
Aちゃんが、
自分の心を切り刻んででも、
守りたかった、
愛してる男って・・・」

そんなこと言うの。

「すぐに分かった。
彼を見てる目。
いつもと全然違ったから・・・
すげー綺麗だった。
妬けるぐらい」

そう言って、ふふって笑う。

「いつもが綺麗じゃないみたい」

なんとか、冗談で返した時。

誰かがドアを激しくノックした。

「A！
おるんやろ？
開けて！」

章大の声だ。

「呼ぶ前に来ちゃったね」

清水先生が苦笑いした。

内側からドアを開いたと同時に、
章大が転がり込むように入って来た。

清水先生を押しのけるようにして、
ベッドの私の元へ駆け寄ってきてくれた。

「Aっ・・・
大丈夫？
顔色悪いし、
ふらついて出てくん見えたから心配で・・・」

「うん。
頭痛いけど・・・」

声が甘えてしまうのを、
なんとか、抑える。