アイツの空６ (ページ17)

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丸山くんが頭を下げて。

行っちゃった・・・

会場の人並みの中を歩いてた章大が、
私を振り返った。

何か言いたそうな顔してて。

手で合図した。

手話だ。

一緒に取材で習ったの。

私はほとんど覚えてないけど、
章大はマスターしてた。

不思議そうな顔した私に、
もう一度、手を動かす。

幸せ？

そう、聞いたんだ・・・

まっすぐな瞳に、
嘘がつけない。

うなづくことも、
首を振ることも。

ただ、見つめるだけしか・・・

酔っちゃったかもしれない。

たった２杯飲んだだけなのに。

章大・・・

責められても仕方のない事したのに。

優しく笑ってた。

「ウィステリア化粧品１００周年に相応しい新商品を発売するにあたって、人気急上昇中のバンド、
クロスザスカイの皆様の応援の手をお借りすることになりました。
登場して頂きましょう。
クロスザスカイの４人です！」

司会の女の人の紹介と共に。

即席の舞台に、
４人が現れて、拍手が起こった。

「作詞作曲、BlueSkyこと、ギターの安田章大。
演奏、歌、クロスザスカイ。
シャンプーのCMソングです。
みなさん、シャンプーもこの曲も、
よろしくお願いします。
それでは聞いて下さい」

亮くんが曲の始めにそう説明した。

章大のアコースティックギター初めて聴く。

イントロのソロだけで、
鳥肌が立った。