アイツの空５ (ページ6)

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途中の公園の前で立ち止まった。

あんまり急ぎ過ぎて、
息が切れて苦しいのに、
亮くんは呼吸一つ乱れてない。

年の差なのか、
個人差なのか。

「Aちゃん、大丈夫？
なんでそんなに急いだん？」

心配されてる始末。

「さっきの・・・
どうしたの？
あんな嘘・・・」

「ごめん。
なんか、ほっとかれへんかった。
あの人と無理矢理結婚させられたら、
章ちゃんと別れなあかんやん・・・」

「亮くんが嘘つく事ないのに。
でもありがとう・・・
とりあえずは助かった。
適当に別れたってほとぼりが冷めたら言うね」

「うん。
かえって事態をややこしいしてごめん。
俺・・・」

「どうしたの？」

やっと息が整ってきた。

二人で少し離れて、ベンチに座る。

「俺も年上の彼女がおってん。
結婚したかってんけど。
彼女の親も事務所も許してくれへんかった。
諦めた自分が情けなくて。
やからさ・・・
章ちゃんには同じ思いをして欲しくないなって・・・
Aちゃんと彼女が重なってもうて・・・」

「そうだったんだ・・・
もう、会えないの？」

「うん。
他の男のもんになってもうた。
もう二度と、会われへん・・・」

亮くんの声、震えてる。

自分の膝で拳を握りしめてるけど、
こらえきれずに涙が落ちた。

こんな辛い過去があったんだ。