アイツの空５ (ページ16)

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通り過ぎてくカップル。

私と章大は、
どういう二人に見えてるんだろうな。

ふと不安になる。

先輩と後輩？

姉と弟？

彼氏彼女にちゃんと見えるのかな・・・

章大が急に私の手を取った。

恋人つなぎして。

にこって笑う。

こんなに人の多いところで、
照れる。

離そうとしたら、
もっとぎゅって握りしめてくる。

「不安そうな顔せんといて」

甘い声で言う。

そんなに顔に出ちゃってた？

恥ずかしいな。

午後のお茶の時間に、
本当にうちの実家に寄るって。

昨日、一応、親に知らせたら、
お母さんがはしゃいじゃってて。

是非是非って言うから。

今はさすがに狭い官舎は出て、
昔、お父さん方の亡くなったおじいちゃんたちが住んでた、
戸建てを建て直して住んでる。

「この家？
雰囲気あって可愛い家やな」

章大がきょろきょろしてる。

「ね？お嬢様じゃないでしょ？」

お母さん好みの、
ナチュラルな雰囲気なの。

おっきなオリーブの木の下の石畳。

その隙間を埋めるように野草がたくさん咲いてる。

小さくてこじんまりした家に、
駐車場には、
ミニクーパーが一台。

お父さん、実は車の免許がないから、
運転するのはお母さんだけなんだ。

玄関のアプローチ階段に、
チョコレートコスモスの鉢植えが誇らしげに咲いてた。

久々だけど、いつも通りの秋の風景。

インターフォン押したら、
ここまで中のばたばたが伝わってきた。