アイツの空５ (ページ13)

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「へぇ。
すごい熱烈な恋愛結婚やってんな」

「そうみたい。
お父さんはどうか分かんないけどね。
研究離れた時間は、
ひたすらぼおっとしてる人だから」

「お父さんに対してひどい言い草やな」

章大が笑った。

「本当なの。
お母さんて、学者肌の人に弱いの。
頭の良いけど、生き方不器用な、
理系男子は、
なぜか、きらきらしてるように見えるんだって」

お母さんて、いくつになっても、
少女なんだよなあ。

今も、５０過ぎても、
結婚生活３２年過ぎても、
まだなお、お父さんに恋してるもん。

私もそうなる予感をひしひし感じてる。

「Aは芸術家肌の男に弱いねやろ？」

いつぞやのシンゴのセリフを引用してくる。

自覚、ありますとも。

「うん・・・
だから章大以外は目に入んない」

素直に言ったら、
照れくさそうに笑った。

「もお。
そんなん言われたら・・・
可愛ええヤツ」

おでこにちゅってしてくれた。

その後、鼻の頭に。

それから、ほっぺにも。

ゆっくり重ねてく唇。

離れたら、章大が優しい目で私を見つめてた。

「俺も、お前しか目に入れへん」

結衣ちゃんのところにもう戻らないで・・・

この一言だけが、
胸の中を渦巻いてるくせに。

「知ってるよ」