アイツの空 (ページ38)

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ショータはもうすぐいなくなる。

自分が少し惨めに感じた。

私は、
いつも不満ばっかりで。

ここから抜け出したいって。

そればっかり考えてた。

ショータには、こんなきらきらした居場所が用意されてるんだ。

だからあんな風に、笑ってられんのかなって。

私はショータには、ますます似合わない。

帰り道。

言葉が見つからない私に、
ショータが不安そうに聞いてくる。

「どうしたん？
びっくりさせ過ぎた？
しんちゃんから聞いてるかと思ってた」

二人で、会社まで戻って来て。

もう少しでショータのマンションだ。

「うん。
びっくりし過ぎて。
ショータ、必死で仕事覚えてたから。
ここでずっと一緒にやっていける気がしてた」

会社のビルを見上げる。

私だって、早く結婚して、
ここから出たいって思ってたくせに。

「A先輩は・・・喜んでくれるかと思ってた。
俺の曲、好きって言うてくれたから。
めっちゃ嬉しくて・・・」

ショータが立ち止まった。

灯りの消えた編集部。

毎日そこに行けば、ショータに会えたのに。

だけど今度こそ、
諦めがつくのかもしれない。

ショータはもともと、
遠い世界の住人だったんだ。

私が知らなかっただけ。