アイツの空 (ページ37)

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ショータの声は相変わらずのんびりしてて。

まーったく意識されてないのがありありで、
一人勝手に落ち込む。

「ショータ、聞いてないし。
差し入れも持ってない」

聞いてたら、手ぶらで来ないし。

「あー、ごめん。
びっくりさせたかってんもん。
A先輩が好きって言うから」

「ショータの知り合いなの？」

ショータに聞いてるのに。

丸山くんが私に顔を近づけて来て。

「知り合いいうか。
元メンバーやねん。
戻って来て欲しいから、
Aちゃんからも、
ヤスにお願いしてくれへんかなあ。
楽曲提供だけなんて寂しいから」

あまりの展開についてけない。

それに、とにかく顔が近い。

楽曲提供って・・・

だから私が褒めた時、
照れてたんだ。

教えてくれてもいいのに。

クロスザスカイの楽曲の、
作詞作曲のところ。

私の好きな曲は全部、

bluesky

そう書いてて。

あれ、ショータの事だったんだ。

「あの、びっくりし過ぎてて。
何も言えないんだけど」

そう答えるのが精一杯。

「ヤス、仕事出来るん？
出来そうにないやん。
役に立てへんのやったら、
戻って来たらええのに。
なんでそんなに奥様雑誌の仕事が好きなん？」

大倉くんが、
心底不思議そうに聞く。

「いつかは音楽の世界に戻りたいけど。
雑誌の世界もめちゃめちゃ楽しいねん。
なかなか踏ん切りがつけへんかって。
けどそろそろほんまに考えるから」