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「A先輩・・・」

放心したショータが私を見てる。


取材らしくてカメラを持って。

よりによってこんな場面を見られちゃうなんて。


ショータは本当に間が悪い男だ。


我に返って、
慌てて鈴木さんの腕を離す。


「そういうことで。
僕は失礼します。
仕事、頑張って下さい」


鈴木さん、心底ホッとした顔で、
店から出てった。



訪れる沈黙。

私が振られるとこ。

見てた?

見てたよね?


「A先輩、あの・・・」

ショータが気まずそうな顔してて。

とんでもない場面に遭遇しちゃったなあって思ってんだろうな。


口止めしとかないと。

編集部のみんなの笑い者になる。


いやいやもうすでに。

結構イタイ存在ではあるだろうけど。

これが、とどめうちになりそう。


「ショータ、さっきのこと、
全部忘れてくれないかな。
もし無理なら、
せめて誰にも言わないで欲しいんだけど。
何でもおごるから」


ショータ、なぜかこの場面で、
にこってしたんだ。


バカにしてるんじゃない。


優しい陽だまりのような笑顔。


「そんなん誰にも言うわけないじゃないですか。
A先輩、元気出して下さい。
振られることもありますって。
僕がケーキでもおごります」


慰められると余計に惨めなはずなのに。

なんだか、ほっとした。


ショータは純粋だからな。


もう25なのに、透明な青空みたいな、
綺麗な心をしてる。


「大丈夫。ありがと。
ショータに慰められるようじゃ、
私ももう終わりだわ。
取材なんでしょ?」

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作者名:fool x他1人 | 作成日時:2017年7月7日 9時

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