アイツの空 (ページ29)

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だけどああ。

こんな事されたら、
ショータの中で私は少しは特別だって、
自惚れちゃいそうだ。

「マメなだけ。
ショータの女子力を甘く見てはいけない」

自分に言い聞かす。

CDを聞いてたら、
ますます、ショータの事ばっかり、
浮かんでくる。

なんでなんだろう。

クロスザスカイ、イコール、ショータ。

私の頭の回路の中では、
そう組み込まれてしまったみたい。

という事は。

このバンドの曲を聴くたびに、
ショータを思い出す事になるじゃないの。

これはゆゆしき問題かもしんない。

翌朝。

いきなり旅行誌担当のさやか先輩に拉致されて、
誰もいない給湯室に連行された。

「ちょっと、A、
シ、シンゴと、つ、付き合ってて、るって本当なの？」

興奮してて、口が回ってなくて。

噛み噛み。

付き合ってなんかないよ。
誤解。

そう、はっきり言おうと思ったんだけど。

でも、考えといてって言われたのは本当だし。

「どうなの？」

すぐ後ろにはシンクで。

目の前には、さやか先輩のどアップの顔。

逃げ場ナシ。

「A、白状しなさいよ」

「分かりました。
ちゃんと説明しますって」

話さないと解放してもらえそうにもない。

万事休す。