アイツの空 (ページ28)

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忘れ物？

落ちてた紙袋を私に突き出してくるから。

「ありがと」

条件反射的に受け取った。

「そっ、それじゃ、僕は失礼します」

言いかけてるショータをシンゴが引き留めた。

「お前、歩いて来たんやろ。
乗ってけ。
どうせ一緒んとこ帰るんやんけ」

「あっはい」

ショータがうなづいた。

シンゴとのこと、完璧に誤解された気がする。

ときたい。

今すぐときたくて仕方ない。

「A、俺の気持ちは言うたからな。
ええ方向で考えといてくれよ。
返事は俺が異動する時でええわ」

車に乗り込む前にシンゴが言ってくれて。

多分、簡単に誤解は解けたっぽい。

まあ、シンゴがショータに今すぐ、
事の顛末を報告するに決まってる。

なんでも筒抜けなんだもん。

ショータは、私が誰と付き合おうと、
何にも感じないだろうけど。

部屋に戻って、
ショータが持って来た紙袋を開けてみる。

中には、

クロスザスカイのCD数枚とライブDVDが１枚入ってた。

デビューしてまだ２年目らしくて、
これで全部みたい。

それと、手書きの可愛いメッセージも。

『ライブもやけど、
今度の金沢、楽しみにしてます。

いろいろ調べとくので、
A先輩はのんびりしててください。

章大』

空にかかる虹のイラスト付き。

この前、二人で見た虹だなって、
すぐに分かった。

ショータは誰にでも優しいんだ。

ましてや、私は職場の先輩だから余計に気を遣ってくれてる。

こんなことで勘違いして、期待するな。