アイツの空 (ページ23)

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「本気ってこと？
シンゴ、私のこと好きなわけじゃないのに？」

どう見てもそうとは思えないし。

俺に合う相手は私しかいない、だっけ？

つまり楽ってこと？

「・・・」

ほら。

黙った。

「お前、そう好きでもないヤツと結婚する気ぃやったやんけ」

そこを突っ込まれると、痛いけど。

「それは。
その、け、結婚してから好きになろうと思ってたんだよ」

焦りすぎて、どもる。

本当は振られてホッとしてた。

結婚寸前までいったことは数回あるけど、
結局、土壇場で出来ないの。

だからいまだ独身なの。

それは全部、ショータのせい。

アイツの空みたいな爽やかな笑顔が浮かぶから。

オードブルが運ばれてきた。

大好物のサーモンマリネと、テリーヌ。

今は美味しいものを味わおう。

「やったら、俺のことも、
付き合うてから好きになればええやんけ」

シンゴもオードブルを、
口の中に放り込んでる。

シンゴ見るたび、エアーズロックを思い出すのは内緒。

なんだろう、このどっしりとした岩感。

「知り合って何年経つと思ってんの。
お互いそんな気になるわけないじゃん。
付き合うってことはよ、
いろいろ、そういうこともあるわけで。
飲み友達とか、仕事仲間とは違うんだよ？」