心の距離【Kei.I】4th

子供な私 ページ5

伊野ちゃんからの直接的なお願いにどう答えていいかわからない。



だけど頭ではちゃんと分かってる。



伊野ちゃんそれは無理なの。

いくら私達が友達でもそれはダメなの。




無言の私に対して彼は泣きそうになりながら更に私を揺さぶる言葉を続ける。


 
「Aが一緒に寝てくれないとちゃんとぐっすり寝れないの。

絶対Aの嫌がることはしないからっ。」


どうしよう


私は弟からも随分前からされていないお願いをこの歳になって初めてできた男友達にされてしまった。



大人の女性ならこんな時伊野ちゃんのしてほしいことをしてあげたり彼が傷付かない方法で諦めさせてあげるのだろう。



だけど私にはそんな器用なことできない。


彼より年齢は上なのにまだまだ心は子供の私。


さっきまで伊野ちゃんのこと子供みたいって思っていたのが恥ずかしくなるくらい私の方が子供なことに気付かされる。




だけど、子供な私は彼の喜ぶような返事は出せない。


だから


素直な今の気持ちを口にしてしまった。



「まって！

そんなこと私涼ちゃんにも久しくしてないよ!?

いくら友達でも伊野ちゃんに出来るわけないよ。」





だけどそのあと、私の心の変化があり彼と一緒に寝ることを決めた。


そしてシャワーを借りた後、ドキドキして寝れそうもないけど彼の隣に背を向けて静かに目をつぶる。


夢の中に入る直前に今日のことは特別だと思うことにした。


今晩の伊野ちゃんは熱が出てたせいで甘えたくなってるだけ。


きっと朝起きたら元の彼に戻ってるはず。


だから私も明日起きたら彼に普通に接するようにする。


子供な私でもこれくらいは出来るはず。



そして彼のパニックによる大声で朝を迎えた。

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