心の距離【Kei.I】4th

共鳴する ページ40

「だから全然マシになってなかったの。」


私は伊野ちゃんに話始める前に言ったことをもう1度口にして2日前の出来事の話を終わらせた。



話している間は辛くて時々止まりながら話すから伊野ちゃんに全ての出来事を伝えるのに時間が掛かってしまった。


それでも彼は「ゆっくりでいいからね」って何回も言ってくれて私のペースに合わせくれた。



そして伊野ちゃんの顔を見る。


話してる間に彼の顔を見るとまた泣きそうになるから下を向いて話していたから話し始めてから初めて彼の顔を見る。



だから気付かなかった。


彼が目に涙を浮かべていたことを。


「えっ？ 伊野ちゃん？」


「ごめん。 辛いのはAなのに。

でも、話聞いてAの気持ち考えるとっ。」


声が詰まっていてもう涙がこぼれる直前なのが分かる。


まるで私が泣けないから代わりに彼が泣いてくれるみたい。


「伊野ちゃん泣かないでっ。


悪いのは私なんだもん。」


彼の涙に慌ててしまう。


いつも私が泣くと伊野ちゃんが慌ててしまう気持ちがよく分かる。

そして彼は涙声で私を気遣ってくれる。


「 Aは悪くないよ。

それよりも早く気付いてあげれなくてごめん。」


伊野ちゃんが謝る必要なんてないのに。


それがそのまま言葉になる。



「ううん。 そんなことない。

まだ2日しか経ってないし伊野ちゃんがこうして家に来てくれただけで充分なの。」



彼は首を横にふる。



そして彼は気になっていたであろうことを質問する。

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