デジャブ ページ10
終わったと私が思った話。
だけど伊野尾さんの中では
まだ終わってなかった。
そして彼はまた私に言葉を掛ける。
今度は甘えた感じではなく
苦しそうに心配そうな顔で。
「ねぇ。
Aちゃんはこれからどうするつもり?」
それは
1ヶ月前に弟からのおねがいの
前振りとして聞いた問いかけと
同じものだった。
一瞬弟との会話を思い出し動揺するが
すぐに別の返答をする。
動揺を悟られないように冷静に。
「私は伊野尾さんが車に乗ったら
電車で帰ります。」
それに対して優しく微笑む彼。
それはあえて私が彼の意図から
外した返答をしたのが
分かっているかのようだった。
「ううん。
違うの。」
首を横に振りながら優しく否定の言葉。
そして私の目を見ながらまた
苦しそうな表情で続きを話す。
「俺が聞きたいのは
今日のことじゃないよ。
これからのこと。」
『ヤメテ。
その先は言わないで。』
彼の言いたいことは直ぐに分かった。
だって、ついこの前弟に同じ事を
言われたから。
私がどう返答しようか悩んでいると
彼は確信を突く言葉を私に掛ける。
「Aちゃんの昔のこと聞いて思ったんだ。
苦しいよね?
男の人を避けて生活するの。」
彼は私がずっと悩んでることを
ひどく優しい声で問う。
彼の問い掛けにどう反応していいか
分からない。
また二人の間に沈黙ができる。
だけど。
この沈黙を破ったのは
やっぱり伊野尾さんだった。
それは私が考えもしないことを言葉にして。
「ねぇ。
Aちゃん。
男の子が怖いなら俺と友達になって
リハビリするのはどう?」
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作者名:☆☆さお☆☆ | 作成日時:2018年1月4日 1時