心の距離【Kei.I】 Second (ページ15)

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さよならの時間ページ15

二人で立ち上がり私は伊野尾さんを
見送る準備をする。

すると彼は年相応の無邪気な笑顔で一言。

「今日はすっごく
楽しかったよ Aちゃん

素敵なお店とお菓子ありがとう。」

「私もありがとうございます。」

本当はもっと沢山伝えたいことが
あるのにいっぱいいっぱいで
お礼しか伝えられない。

だけど、これだけは忘れずに
言わないとと思い焦って付け加える。

「あの！

涼ちゃ、あっ。

涼介のこと宜しくお願いします。」

それを聞いて彼がアイドルの顔になり応える。

「はーい。

任せてね。」

そして、伊野尾さんは最後に
私の目線にかがんで目を合わせて
可愛い笑顔を向ける。

「友達になったらまた美味しいご飯
一緒に食べに行こうね。」

そして伊野尾さんは最初と同じように
胸の前で手を振りながら部屋を後にした。

『好きにならないですよね？』

仕返しに私が言った冗談の質問。

もちろん、彼が私のことを
好きになるなんて思っていない。

彼が生きている世界は私なんかより
もっと素敵な女性がたくさんいるんだもん。

「はぁ～。

伊野尾さんと友達本当になるの？」

彼に渡された連絡先を握りながら
さっきのやり取りを思い出し一人呟く。

「まずい！

支払いの話途中で終わっちゃってた。」

彼との中断された話を思い出し
私も部屋を出る準備をする。