君にロックオン！【青根高伸】 (ページ33)

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32.二人の日常ページ33

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青根くんの職場から、私のアパートまでは駅5つ分。
そして実家はもっと先なので
たまに、仕事帰りに私の部屋に寄ることがある。

「お疲れ様、青根くん。夕飯食べた？」

青根くんは首を横に振る。

「今、用意するから」

無口で、あまり怒らない青根くんだから
この3年、喧嘩と言う喧嘩もしたことがなく、仲良くやっていた。

「あ！あのね。鎌先夫婦に子どもが出来たんだって」

味噌汁を温めながら、昼間の話を思い出し
青根くんに話した。

「そうか。こういうときは何か、お祝いを送った方がいいのか？」

「お祝いは産まれてからだよ」

簡単に用意した夕飯を食べて
テレビを見たり、世間話したり。
もはや夫婦のような生活……。

「うちの怖い上司がさ、新入社員の女の子に甘いんだよ。私には厳しいのにさ…なんか、納得いかない」

私は、今年新入社員が入ってから愚痴ばかりになっていた。

「Aさんに期待してるからなんじゃないか」

「いや、絶対そんなんじゃないよ。係長は新人が可愛いんだよ…おじさんに好かれそうな感じの子だもん…」

新入社員の吉川さんは、そう、悪く言えばぶりっ子だ。

「そうなのか…」

青根くんは女子に免疫なさそうだし、こんな話してもわからないよね。

「青根くんの職場って女の人いないの？」

「工場だからほとんどいないな……社長の奥さんと掃除のおばさんくらいだ」

若い女子社員のしがらみなんて……わかるはずないよね。

「そろそろ帰る」

青根くんはそう言って立ち上がる。

「職場、ここからの方が近いし泊まっていけばいいのに」

「いや、大丈夫だ」

青根くんてドライだよな。
まぁ、なあなあに流れで半同棲……とか
そんなことになるよりは、けじめがあっていいんだろうけど。
こんな夫婦みたいな過ごし方するんだったら、いっそずっと一緒にいてもいいじゃない。
最近親からは、結婚しないの？なんて急かされてる。
けれど青根くんはまだ二十歳だ。
まだまだ結婚なんて……考えていないよね。
3年も付き合って、私ももう24歳。
青根くんと結婚したいって、思ってしまうんだよ。