アンデルセンの両片想い【フロイド】

09-束の間の休息 ページ10

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＿＿それからフロイド先輩に会う事も無く、ついにはサマーホリデーを迎える直前になった。

フロイド先輩に会わないのは、何となく私がユウちゃんを避けてるからだと思う。
それにユウちゃんも気付いていないし、平気だ。





「もうサマーホリデーだな〜」

「何か僕達が放課後に揃うの、久々じゃないか？」

「オレとAが、でしょ？ オレ達ホリデーに向けて準備してたし」

「エース、準備って何してたの？ Aちゃんと？」

「ちげーよ！ オレはオレでしてたの！ 色々！」





ホリデー前だし、いっか、なんて気分で久しぶりにユウちゃん達の元に行くと、エースも放課後抜けていたという事実を知って内心驚いている。


若干エースと目が合って、エースは優しげに私を見て目を細めるものだから、何だかどきっとしてしまった。





「そういえば、二人はホリデー空いてるか？ どこか遊びに行こうと、ユウとグリムと話してたんだが」

「Aの地元の海が綺麗って聞いたんだゾ！ オレ様は泳げねぇけど」

「私の地元は今は暖流でぬるい海だからオススメしないなあ、それに私、ホリデーはバイトがあるの」

「わり、オレもパス！ 実家に帰れって煩くてさ」





いつもなら遊びに対してフッ軽なエースが珍しい。
変なの、なんて思いながら特に疑問も抱かずさっさと解散したかった。


あんまりユウちゃんと長く話してると、いつフロイド先輩が来るか分からない。
……なんて思ってると、長い廊下の奥から、特徴ある二つの大きな背が見えて。





「A、ジュース買いに行くの着いてきて！」

「えっ？ あ、ああ！ 良いよ！」

「エース、A！ 僕のも頼む」

「オレ様のも！」

「バーカ、自分で買いに行けっつーの！」





硬直した体を、エースが手を引いてくれる。
めちゃくちゃにナイスタイミング。
　エースは何かを察するのが上手い。


ふと後ろを振り返ると、あんなに遠くに居た先輩二人が、もうデュース達の近くに立っていて。

　ちら、とフロイド先輩を見ると彼はじっと私を見ていた気がして、今度は私の方から慌てて目を逸らした。





「＿お前、フロイド先輩の事好きなの？」

「えっっ」

「やっぱり」





カシュ、炭酸の抜ける音と同時に間抜けな声が私から漏れる。
気付かれてないと思ってたのに。

やっぱり、ということは前から気付いてたんだろうか。





「あの人の…どこがいーわけ？」





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