47‐アンデルセンの両片思い ページ48
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＿直後、背後から長い腕が私の両肩に巻きついた。
大好きな海の匂い。
後ろを振り返ると、してやったり顔のフロイドが私を見下ろしていた。
「フロイド！」
「どーお？ 驚いた？」
「うん！ 凄い、こんなに沢山の料理も……これ、フロイドが？」
「そーだよ。Aの為に昨日の夜から頑張ったんだぁ」
思いがけなく嬉しいサプライズ。
だけど、何の為に？ 誕生日はまだ先だし。
私が変な顔してたからか、フロイドはむすっとして「まさか、今日何の日か覚えてねえの？」と抱きしめる力を強くした。
「……ご、ごめん。誰かの誕生日だったっけ？」
「……A、それ本気で言ってる？」
「え、えっと……」
誤魔化し気味に笑う。
わざとらしく大きなため息をついた彼は、「ついてきて」と私の腕を優しく引いて、料理の置かれたテーブルを縫って奥へと進む。
最奥のテーブルには、赤い花束とリングケース。
ますますわからなくてドキドキしてきた。
「手、出して」
「手？」
「うん。右手」
言われるがままに右手を差し出す。
徐にリングケースから取り出された指輪を、彼は私の薬指にはめた。
フロイドの髪色と同じ、真っ青のシンプルなリング。
「……オレと、1年も一緒に居てくれて、ありがと」
「……えっ」
「今日1年記念日だよ。A」
フロイドの言葉に、私は声にならない悲鳴をあげた。
完全に忘れてた！ まさか、付き合ってから1年経ってたなんて。
恥ずかしそうにはにかむフロイドは、1年前の告白した時と全く同じ。
あの時から変わらず、私はフロイドだけを思い続けて、そしてまた今日、一段と彼を好きになる。
「こちらこそ、いつもありがとう。
…大好きだよ、フロイド」
「…うん」
「ん…」
「＿＿……で？」
＿で？
悪戯っぽい声色に、私は顔を上げた。
そこには、妖艶な顔つきで私を捉える優しい野獣。
何だか、嫌な予感がする。
「1年記念日は、約束したよね？」
「…な、何の事かなー」
「逃がさねーよ」
後退する私の腰を強く引き寄せた彼に、唇をいとも簡単に掬われる。
たった数秒のキスなのに、もう既に腰がやられた。
「は、…ふ、おいど…」
「今日はいーっぱい、キモチ良い事しよーね」
「ひェっ、」
何度もすれ違って遠回りしてきた、私の恋は、始まったばかり。
アンデルセンの両片思い
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おそらまめ(プロフ) - 森Shizuku?さん» コメントありがとうございます！高校生の時のあの青春って本当に素敵ですよね。その通りです、10話のタイトルはエースの言葉を代弁しました！何度もご覧いただき光栄です…。本当にありがとうございます！ (2021年10月6日 11時) (
レス) @page11 id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
森Shizuku?(プロフ) - このお話、何度読んでも素敵です。10話のところってエースの言葉なんですかね。深いし、みんなそれなりに高校生してるなと思いました！ (2021年10月1日 20時) (レス) id: 7c267cd787 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 智真さん» 智真様、完結のお祝いありがとうございます！そうなんです、男子高校生をやってるフロイドくんが書きたかったんです…！そう言って頂けて感激です！監督生と2人の間に何があったかは、ご想像にお任せします（笑） (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 華のフロランタンさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです(^^)また何かご縁がございましたらどこかでお会いしましょう！ (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - モブサイコ１００さん» 最後までご愛読ありがとうございます！オクタは本当に素敵な3人なので絶大な人気ですよね…！ここは沢山素敵な作品がございますが、読者様にとってこの作品が心に残る作品であれば幸いです(^^) (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おそらまめ
| 作成日時：2020年8月3日 1時
