36‐変わらない現実 ページ37
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A
あれだけ会いたくて会いたくて…それでも、会うのを避けていた理由。
その理由の根源が、いまだに先輩の耳に揺れている。
先輩と久しぶりに話して目を合わせて、心臓が取れちゃいそうな位ばくばくと鼓動を知らせている。
……分からない。
必死な顔して、私を追いかけてきた先輩が。
目の前で、優し気に微笑む彼が。
他の人から貰ったピアスを付けている、あなたが。
「……離して…」
「ヤダ。またどっか行っちゃうの、やだ」
「……私に、構わないで下さい」
「何で？ オレなんかした？
バイト、ずっとAが来んの待ってたんだけど」
「……私なんか、どうでもいいくせに」
僻みに近い私の言葉は、距離が近いフロイド先輩にはしっかり聞こえてしまったみたいだ。
むっとして先輩が私に顔を近づける。
その顔すら好きなんだから本当に苦しい。
「どうでもいいやつの事、オレ2週間も待たねえんだけど」
「っだったら、そのピアスは……！」
「ピアス？」
しまった。
そのピアスについて、私が盗み見していたのがバレてしまう。
だけど幸いフロイド先輩は特に気にすることなく、…むしろ、凄く機嫌がよさそうににんまりと口角を緩める。
「………これ、いーでしょ。どー思う？」
「……どう、…って……」
「ね。そっくりでしょ？」
「そっくり……？」
それは、まさかユウちゃんの事を言ってるんだろうか。
右耳のピアスを指で弄びながら先輩は嬉しそうな顔で弛緩する。
……あぁ、余程嬉しいんだ。
ユウちゃんから貰った、それが。
そうじゃなければそんな嬉しそうな顔しないもんね。
「………そうですね。似合ってますよ、先輩」
「ほんと？ …A、」
＿突然、フロイド先輩がぎょっとして息を詰まらせた。
私を凝視している。
フロイド先輩の瞳に濁って映る私は＿泣いていた。
「……な、んで、A、……えっ、どうしたの」
「………ふ、あは。……っははは…」
「A？」
私の事、何とも思ってないくせに、目の前の大好きなフロイド先輩は泣いてる私を見て狼狽えてる。
私が、あのフロイド先輩を翻弄してる。
その光景が客観的に物凄く滑稽に思えて、もう笑えて来た。
「……A、悲しいの？」
「そうだよ…悲しい、凄く。」
「A……」
「だって、彼女じゃないもんね。私」
「え」
フロイド先輩の手が緩む。
その隙に私は、また彼の手を振り払って逃げた。
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おそらまめ(プロフ) - 森Shizuku?さん» コメントありがとうございます！高校生の時のあの青春って本当に素敵ですよね。その通りです、10話のタイトルはエースの言葉を代弁しました！何度もご覧いただき光栄です…。本当にありがとうございます！ (2021年10月6日 11時) (
レス) @page11 id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
森Shizuku?(プロフ) - このお話、何度読んでも素敵です。10話のところってエースの言葉なんですかね。深いし、みんなそれなりに高校生してるなと思いました！ (2021年10月1日 20時) (レス) id: 7c267cd787 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 智真さん» 智真様、完結のお祝いありがとうございます！そうなんです、男子高校生をやってるフロイドくんが書きたかったんです…！そう言って頂けて感激です！監督生と2人の間に何があったかは、ご想像にお任せします（笑） (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 華のフロランタンさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです(^^)また何かご縁がございましたらどこかでお会いしましょう！ (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - モブサイコ１００さん» 最後までご愛読ありがとうございます！オクタは本当に素敵な3人なので絶大な人気ですよね…！ここは沢山素敵な作品がございますが、読者様にとってこの作品が心に残る作品であれば幸いです(^^) (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おそらまめ
| 作成日時：2020年8月3日 1時
