03-第三者は面白がっている ページ4
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「っはァ〜〜〜………」
監督生さん達と別れて、僅か数分。
僕の片割れは曲がり角で彼らが見えなくなるのと同時に突然しゃがみ込んだ。
彼の思っていることは大体分かる。
恐らくAさんの事を考えているのだろう。
「フロイド、どうしました?」
「分かってるくせにさあ〜…」
「おや、何のことでしょう」
こちらを見上げたフロイドの頬は赤い。
気まぐれでいつも誰かを振り回しているフロイドがこんな風になってしまうなんて、やはり恋というものは難攻不落だ。
「オレ、さっき普通にできてた? いつも通りに接してた?」
「ええ、いつも通りでしたよ。少々監督生さんにべったりでしたが」
「っだってAと直接喋るなんてできねぇし!」
彼女の入学当初はあれだけべったりだったものを。
今では触れるのにも臆病になるなんて、一体どんな心境の変化があったのか。
そう思ってはみるものの面白いので黙っておく。
「今日はAさんがバイトの日ですから、良ければ遊びにこられては?」
「……ん……」
「フロイド?」
「オレもバイト入る」
「おや」
いつもあんなにバイトを嫌がっているフロイドが自主的にバイトを入ったとアズールが知ればどんな顔をするんでしょうね。
「今日アズールも居る?」
「ええ、居ますよ。今日は久々に3人揃って働けますね」
「そっか……アズールいんのかあ…」
「何か問題でも?」
「アズールが居たら、Aの喜んだ顔見れんだろうなって思った」
彼の見当違いの発言に、僕は困った顔で笑うしかなかった。
彼はAさんの想い人がアズールだと思っている。
理由は、Aさんが僕たちの中でアズールを一番信頼しているからなのだが。
彼女がアズールと頻繁に二人で話をしているのは、主にアズールがAさんの恋の相談に乗っているからだ。
「Aさんの喜んだ顔が見たいなら、自分から話しかけてみては?」
「……だって好き過ぎてオレどうやって話してたかわかんねーよ」
「いつも通りですよ。監督生さんだと思えばいい」
「ムリムリ、小エビちゃんとAは全然違ェの!
……今日Aと一緒に働きたいから、ジェイド、言ってくれない?」
「一緒に働きたいのならどうぞご自分の口から仰ってください」
「えええ〜………」
僕も暑い中こんな所にいつまでも居たくはないが。
フロイドの真っ赤な頬を見て、どこか涼しささえ感じていた。
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おそらまめ(プロフ) - 森Shizuku?さん» コメントありがとうございます!高校生の時のあの青春って本当に素敵ですよね。その通りです、10話のタイトルはエースの言葉を代弁しました!何度もご覧いただき光栄です…。本当にありがとうございます! (2021年10月6日 11時) (レス) @page11 id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
森Shizuku?(プロフ) - このお話、何度読んでも素敵です。10話のところってエースの言葉なんですかね。深いし、みんなそれなりに高校生してるなと思いました! (2021年10月1日 20時) (レス) id: 7c267cd787 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 智真さん» 智真様、完結のお祝いありがとうございます!そうなんです、男子高校生をやってるフロイドくんが書きたかったんです…!そう言って頂けて感激です!監督生と2人の間に何があったかは、ご想像にお任せします(笑) (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 華のフロランタンさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて嬉しいです(^^)また何かご縁がございましたらどこかでお会いしましょう! (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - モブサイコ100さん» 最後までご愛読ありがとうございます!オクタは本当に素敵な3人なので絶大な人気ですよね…!ここは沢山素敵な作品がございますが、読者様にとってこの作品が心に残る作品であれば幸いです(^^) (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2020年8月3日 1時