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＊
相葉くんのことばをかりるなら、本能がひらめいちゃったらしい。
「あ、あの日に…？」
「そうそう！！
こそこそしてたらばっちりみつかっちゃってー
『ここ、部外者立ち入り禁止ですけど』って、ハルちゃんにめっちゃおこられたのー」
あの日とは、先生のサロンでわたしがはじめてタケルさんにあった日のことだ。
「だってあのときの相葉くん、抜き足差し足であきらかに挙動不審だったんだよ
どろぼうかと思ったし」
それでもすぐに相葉くんだと気がついたハルは、わたしがらみでここにきていることをすぐに察知したという。
「だからね、念のためにあたしの連絡先おしえたの
そしたらさー、相葉くんてばなんの抵抗もなく自分のバンゴウあたしにいってくるんだもん」
「Aちゃんのいちばんのおともだちっていうしー
それに、連絡先交換しておけって脳がぱちぱちいったのー」
いやいやいや。
世の中には危険なひともたくさんいるぞ。
「たしかに今回は相葉さんにしては勘がさえていましたね」
わたしがしぶい顔をしているあいだに、ニノがさりげなく相葉くんをほめた。
相葉くんは片手でちいさくガッツポーズをしている。
「これでつながったかな？」
となりの翔くんがわたしをのぞきこむようにしてきいてきた。
わたしはこくりとうなづく。
からだをひねってそんなわたしをみていたニノはちいさな紙きれをぴらりとだしてきた。
「なに…？」
うけとった紙きれはやっぱり台本をちぎったもののようで。
わたしはニノから３通めの手紙？ をかさこそとひらいた。
「３１０４？」
そこには４桁の数字がならんでいるだけだった。
わたしがくびをかしげているとニノはシートの背もたれに両うでをからめながらにっこりほほえんでいった。
「大野さんはそこにいます」
＊
それからの車内はひどくしずかだった。
わたしは窓にぺたりとはりついていた。
ゆっくりながれる車窓のむこうはひとであふれている。
マフラーをくちもとまであげて、ひとりさくさくと早あるきで去っていくひと。
ラブラブカップルがさむい中てぶくろもせずに手をからませるすがた。
よっぱらいぎみのサラリーマンに、ミニスカートに生足のムスメさん。
こんなにたくさんのひとがいるのに。
『たいせつにしなきゃいけないのは、自分の直感よ』
『であうべくしてであったのなら、そのであいは奇跡じゃない』
わたしは、
これから…
＊
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作者名：ひか | 作成日時：2016年1月19日 17時
