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＊
ニノはカメラをビーチのまんなかにセットすると、肩にかけていたおおきなにもつをおろした。
波とたわむれていた相葉くんと潤くんはそのすがたをみると、智くんと翔くんにならぶようにかけだした。
「きょうはニノミヤさんいそがしいですね」
「ええ、カメラマン兼音響担当です」
くふふと笑いながらニノはぱちんと留め具をはずす。
ひらいたふたの中からでてきたのはつかいこまれたギターだった。
なれた手つきでストラップを肩にかけながら、ニノはカメラをのぞきこむ。
うなづくしぐさをするとニノも４人にならんだ。
じゃらん
ニノがかるくギターをならすと、それを合図にしたかのようにみんなの顔つきがかわった。
「では、きいてください
たいせつな場所から… あなたへ」
＊
ゆめのような空間がひろがった。
ギター１本でかなでられたメロディとしずかにゆれる波の音がまざりあい、５人のうたう声がじわりとやさしくからだじゅうにとけた。
ニノがビーチにセットしたカメラのむこうには何十万人ものひとがいることはわかっているけれど。
時折みんなと視線があうと、まるでわたしひとりのためにうたってくれていると錯覚してしまうくらいだった。
おでこににじむ汗も、砂だらけのビーチサンダルも、走りすぎてぐちゃぐちゃになっている髪の毛も放置して。
ちいさな岩のうえでひざをかかえながら、５人がここにいるすがたをひたすらに目にやきつけた。
『Aちゃんはみてみたいと思わない？』
すごいね。
『俺らも、みてみたいんだ
あの景色を』
ほんとうに、かなえちゃったね。
現実ばなれしすぎたじかんはわたしをふあふあと宙にまいあがらせて。
『とびきりのステージにする』
わたしとかわした約束はぜんぶまもられすぎていて。
あっというまにすぎさった。
＊
ニノがカメラの電源をおとした。
とたんに相葉くんがわたしにむかってとんできた。
「Aちゃーん！！」
「相葉くん！！
すごいかっこよかったよー」
わたしはたちあがり、相葉くんとじゃれあうようにぴょんぴょんとびはねた。
「みんなすごいね、ほんとにすてきだったよ！！」
ニノはギターをケースにおさめながらくちもとをゆるませている。
翔くんはうでをくんで、満足そうにほほ笑んでいる。
潤くんはタオルを手にとりながらアイドルスマイル炸裂。
そして、智くんはちょこんとしゃがんで破顔していた。
＊
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作者名：ひか | 作成日時：2016年1月19日 17時
