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まっ白な雲のあいまをぬってぐんぐん近づいてくるヘリコプターに確信をいだいたわたしはとびはねるように走りだした。
島のヘリポートはひとつだけ。
救急搬送用にしかつかわれないはずだが、そこ以外考えられない。
ビーチサンダルの足もとがおぼつかず、ころびそうになりながらもわたしは丘をかけおりる。
道ばたにはえている草をむしゃむしゃたべているヤギを横目にわたしはふと思った。
ヘリって何人のれるんだ？
そんなに大人数は無理でしょ。
わたしの目がとらえたのは１台だけだった。
どういうこと？
スタッフさんたちは船便とか…？
灯台をかこむちいさな森をぬけると太陽が直接ふりそそぎはじめ、ひいていた汗が再びわたしのからだをじんわりとおおっていく。
ビーチサンダルの鼻緒がくいこんでなにげに痛い。
それでも足をとめることはできずに、わたしはひたすら舗装されていない土むきだしの道をひた走り。
集落にさしかかると何人かの島民が家からでてきていた。
「おー、きたきたー」
おじいやおばあたちが手でひさしをつくり、空をみあげてのんびりと声をあげている。
『きたきた』…？
しってたの？
わたしはぱっとふりかえりヘリの位置を確認してまだじかんがあることを悟ると、ちかくにいたおじいに息をきらしつつもたずねた。
「す、すみません
あれ、あのヘリって…」
「ねえねえラッキーだなあー
いまからアイドルがここにくるさー」
アイドル…
わたしが両ひざに手をつき呼吸をととのえていると、べつのおじいが寄ってきた。
「はじめはみーんな反対してたんだけども、何回も熱心にくどかれてねえ
絶対に迷惑はかけないっつーしねえ」
「あんなにあたまさげられちゃ、こっちとしても受けいれなー面目ねーってなー
さいごはみんな大賛成よー」
「着いたらすぐにテレビにうつるらしいさー」
「グループはなんてったけねえ？」
「アラシよ、アラシ
うちのおばあが歳がいもなく興奮してるさー」
そんなふたりのおじいはさいごに、
「…あ、これおふれこってやつじゃなかったかい？」
と、顔をみあわせてしまったという表情になったが、すぐにけらけらと笑った。
「ねえねえにだまっててももうじかんの問題さー」
そのとおりだ。
びゅうっとつよい風があたりをつつみだし、空をあおげばヘリはすぐそこまできていた。
わたしはおじいたちにお礼をつげると、目的のビーチへかけだした。
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作者名：ひか | 作成日時：2016年1月19日 17時
