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おきたときにおきて、海にいって、たまに島を散策して、おなかがすいたらごはんをたべて、空がオレンジ色にそまりはじめたらビールをのみにいった。
よるは地べたにねっころがって夜空をながめたり、星あかりの下ビーチにおりて波打ちぎわを散歩した。
水をかけあう相手はいない。
たのしそうにじゃれあう影もみえない。
それでもわたしはあの２週間をまるでおいかけるかのようにすごした。
なにかの拍子に記憶のふたがぱかりとひらかれて。
うすらぐはずのない想いを再認識する。
まぶたをとじるとうかぶその残像に、わたしはちいさくほほ笑む。
＊
東京にいるふだんのわたしは化粧もしているし服にだってある程度気をつかっている。
でも、いまはすっぴんで、髪はぼさぼさのままひとつにまとめて、だるだるのタンクトップすがた。
からだじゅうが砂まみれになるのもおかまいなしに、わたしはビーチにごろりと横たわる。
きらきら太陽の日差しであっためられたまっ白な砂がここちいい。
『Aさんも、Aさん、ですよね
どこにいても、なにをしていても』
あたりまえだ。
だけど。
『ふつーにしてたらいいんだよ！！
ふつーがイチバン！！』
わたしはいまふつーだ、イチバンふつーだ。
そのまま。
素のまま。
自分がそういられる場所がどれだけあるのだろう。
わたしにとっていままで何度もにげてこんできたこの島々はきっとそういう場所だったんだ。
でも。
ここはにげる場所ではなくなった。
どこまでもひろがる青空にあいかわらず低い位置にぽかりとうかぶ雲。
これまでに何度か考えてみた。
あのうたを智くんがうたってくれた意味を。
あのときのわたしにあのうたをとどけてくれた理由を。
「未来へ、紡いでーゆくーおもーいを、」
空へと、わたしは左手をかざした。
＊
伊波島ですごすさいごのよる。
わたしは缶ビール片手にビーチにおりた。
顔をあげればまあるくひろがる星空。
線引きされたかのような天の川がはっきりみえる。
ひとりぽっちだけど、ひとりじゃない。
どこでなにをしているのかわからないけれど、このおなじ空の下にいる。
ねえ。
いま、なにしてるの？
みんなとなかよくしてる？
お仕事がんばってる？
ごはんはちゃんとたべた？
よるはねむれてる？
…ちゃんと、笑ってる？
「わたしは、笑ってるよ」
笑えてるよ。
＊
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作者名：ひか | 作成日時：2016年1月19日 17時
