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＊
「よるごはんは？」
平然としながらもわたしののうみそはフル活動。
「Aはもうたべたの？
まだならのみにでもいく？」
いくわけないでしょーが。
がっちりつかまれたうでが痛むけれど、ここでふりはらってもなにもかわらない。
おなじことのくりかえしだ。
「ごめん
実はいまからハルと会うの」
わたしはでまかせをいった。
リュウの目元がぴくりとうごく。
そしてかるく顔をゆがませながらリュウはいった。
「そうなんだ
それなら、俺もいっしょにいこうかな」
…のってきた。
わたしへの確認などはなく、それはもう決定したことのようにいいきったリュウにわたしはちいさくほほえむ。
「いいよ
そしたら、ハルにリュウもくること連絡するね」
するとリュウの表情がやわらいだとともに、つかまれていたうでのちからがふっと弱まった。
わたしとリュウは駅の改札にむかってならんであるきだす。
そこで、わたしはポケットからスマホをとりだした。
「あれ、Aスマホ解約したんじゃなかったの…？」
怪訝そうにきいてきたリュウにわたしはにっこり笑ってこたえた。
「やっぱりないと不便だからね
きょう買ったばっかりなの」
画面を操作しながら、リュウにいわれるまえにさきにつたえておく。
「あとでリュウにもバンゴウおしえるね」
あまりにもわたしがおだやかにつげたからだろうか。
リュウから特に威圧的な空気は感じられず、わたしはのうみそのかたすみにずっとのこしておいたバンゴウをタップした。
つながらない可能性のが高いと思っていた。
そしたら、はなしているふりをすればいいと思った。
けれど、わたしの予想はいいように裏切られる。
『はい…？』
結局わたしのバンゴウはおしえずじまいだった。
しらないバンゴウからの着信だったからか、相手をさぐるような低い声だった。
「あ、ハル？
きょうさ、ごはんいくっていってたじゃん？
リュウもいっしょでいいかな？」
『…え？』
電話のむこうはがやがやとさわがしい。
だれがいるのかはわからないけれど、ひとりではないのはたしかだ。
「さっきまでねーわたしは家にいたんだけどね
ちょうど駅までの道でリュウにばったりあってね
ハルはもう仕事おわった？」
おねがい。
気づいて。
『…どこにいけばいいですか？』
そう、あなたが気がつかないわけない。
探偵さんなんだから。
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作者名：ひか | 作成日時：2016年1月19日 17時
