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アイドルスマイル全開の翔くんとながいまつげをゆらすことなく真剣にわたしをみつめる潤くんにはさまれて。
わたしはことばをえらびながらはなしだした。
「離島はね、きっとふたりが想像してるよりせまい世界なの
すんでるひとたちもすくなくて、横のつながりでくらしてる
ひとの手がつけられないほどの自然がのこってるところも多くて
だからこそ、その自然はぜったいにまもらなくちゃいけない」
なにをえらそうにわたしは語ってるんだろう。
違和感しかないけれど、ふたりの瞳がさきをうながす。
わたしはちいさくため息をつくと、つづけた。
「さっきもいったけど、わたしはただの観光客のひとりで
島に魅せられて、何度も来島するようになって
もしかしたら、わたしのせいで、たったひとりのせいで、どこかでその自然がこわされてる可能性もある」
島の活性化と環境破壊は背中あわせ。
『便利になった』裏側にはどれだけの自然がこわされたのか。
わたしにはもちろんわからない。
「あなたたちは、嵐だから」
嵐のファンのマナー問題じゃない。
来島するひとがふえるかもしれないということが気がかりなだけなんだ。
「『嵐がおとずれた島』は、どうなるの？」
しばらく３人ともだまっていた。
テーブルの真ん中で炭火がかたんと音をたてる。
翔くんも潤くんもわたしも、だまってジョッキをかたむける。
わたしは自分の発言に対してかなり後悔めいたきもちでいっぱいになっていた。
東京うまれ東京育ちのわたしがなにをいっちゃってんだ。
取り消せるならいますぐおねがいしたい。
でも。
『この島をたいせつに思ってくれるひとはみんな家族みたいなものなのよ』
おこがましいかもしれないけれど、わたしは単純にまもりたいと思ったんだ。
島の自然を。
島のひとの生活を。
ぼうっとジョッキの水滴をゆびさきでぬぐっていたときに、ふいに翔くんがくちをひらいた。
「Aちゃんはみてみたいと思わない？」
「なにを…？」
「俺らが、あの景色にたつすがたを」
それは、
「…みてみたい」
わたしのそのことばに反応したかのように潤くんもつぶやく。
「俺らも、みてみたいんだ
あの景色を」
となりの翔くんはおおきくうなづく。
そして、ふたりは声をあわせていった。
「「きれーな海と、ちっちゃい灯台」」
＊
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作者名：ひか | 作成日時：2016年1月19日 17時
