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＊
テーブルにおかれたてのひらサイズのブルーの箱。
「これ、大野さんから」
「…智くんから？」
「Aさんがさっきまで全否定してたクリスマスのプレゼントじゃないですか？」
むむう。
でも、智くんもイベントごとに敏感なタイプじゃない気がするけどなー。
そんなことを考えながらちいさな箱をころころともてあそんでいると、ニノがつづけた。
「まあ、今回はたまたまクリスマスでしたけどね
大野さんは思いつきのが多いですよ」
思いつき…
そうだ、そうだよ、だってあの絵を描いてくれたときもそうだった。
「いま、あけてもいい？」
「ひとりでゆっくりじっくりじゃなくていいんですか？」
「ここでもゆっくりじっくりできるし」
さらっとそんなこといいながらほんとは心臓がとびはねるほどうれしくって。
わくわくとうきうきがごちゃまぜで。
その反面びくびくとそわそわもぐるぐるしてて。
ここであけなかったらあけられない気がしたから。
ニノはどうぞといったようにかるくうなづくと、さりげなく視線を壁がわにうつしてくれた。
わたしはそろりと箱のふたをあけた。
その中からころんとでてきたのは。
「星だ…」
立体的な星はきれいな青とエメラルドグリーンのグラデーションでぬられていて。
淡いオレンジ色にぬられたほそいワイヤーみたいなものがぐるぐるとまかれていた。
星のかたちもよくある☆じゃなくて。
アスタリスクみたく長さのちがう放射線が６本。
両手でつつみこむようにもった星をわたしはしばらくじっとみつめていた。
ゆらりゆれるキャンドルの炎の中で。
ほんのりと影をおとす星。
智くん。
これ、海の色だよね？
これ、ゆうやけの色だよね？
わたし、
これ…
「ありがとね」
わたしはニノサンタに声をかける。
グラス片手にニノはわたしのほうへむきなおると、にっこり笑っていった。
「メリークリスマス」
うん。
きょうはだれがなんといおうとクリスマスイブだね。
そして、お店のとけいがぽーんとひびき日づけがかわったことをしらせた。
＊
明確な基準なんてない。
だから、約束なんかしなかった。
わたしはただただ毎日をすごしているだけなのかもしれない。
あの日からなにもかわっていないのかもしれない。
わからなくなりはじめそうだったそのとき。
わたしの手にひかりがぽとり。
そう。
あふれる想いはちからになる。
＊
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作者名：ひか | 作成日時：2016年1月19日 17時
