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＊
「どーいうこと？！！」
「意味わからんこといったらしい！！」
「おーちゃんがいちばん謎」
「これ、完全にオンナがらみでしょ！！」
「単純にファンへの感謝って意味じゃね？」
「テレビでオンナ宛てのメッセとかありえねー」
家をとびだしたわたしとすれちがうムスメさんたちがスマホ片手にネット情報をあさっている。
…いや、ほんと、まじでありえねーっす。
なんもいえねーっす。
翔くん、バカじゃないの？！！
つっぱしりすぎだっつーの！！
と、わたしは翔くんを脳内でたたきあげる。
「てか、セットめっちゃよくね？」
「あ、ほんとだ、新曲と雰囲気あってるし！！
これも演出松潤？」
街路樹にまきついたイルミネーションが無駄にまぶしい。
わたしは鼻のあたまと耳を真っ赤にさせながら人ごみをかけぬけて駅にむかう。
「でっかい星に５色の虹ねーいいねえー」
「衣装もまっ白で天使じゃん、やばいこれ」
オンエアをみれなかったムスメさんたちはひたすら動画や画像をネットで検索している。
「つーか、あのあいさつがファン宛てならさ、星ひとつじゃなくてたくさんでよくね？」
「たしかに
くちの中はいるほど星ふらせりゃよかったのに」
…くちの中にはいるほどふらせたら、うたいづらいだろうよ？
そうこころの中で苦笑いするものの。
放送がおわってからまだ３０分もたってないのに。
すでにこれだけさわがれているんだ。
これからネットニュースやワイドショーでもとりあげられるのかもしれない。
でも、彼らはやった。
なにがあってもどうにかできる自信と環境があるから、やった、はず。
わたしはこのあしをもうとめたくなかったから、負の考えは一切すてることにして、ただただ駅までの道をいそいだ。
改札までもうすぐ。
というところで、小走りだったわたしは前方からきたひとの肩にとんとぶつかってしまった。
「あ、ごめんなさ…」
あやまってそのままとおりすぎようと思ったのに、わたしはそのひとにうでをつかまれた。
「A？
こんなじかんからどこかでかけるの？」
「…リュウ」
やばい。
でも、
わたしはいく。
「いま帰り？」
平然とはなしてみせた。
「そ
金曜だってのに残業でさ」
なんてことない会話だけれど、わたしをつかむうでのちからはぎりぎりとつよくなっていく。
…どうしてくれようか。
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作者名：ひか | 作成日時：2016年1月19日 17時
