碧いなみだ、空を紡ぐ。 ⑤ 【ars】 (ページ2)

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冒頭の翔くんのことばにひどくおどろいた顔をみせていた。

きょろきょろと４人がなにをするのかをうかがっていた。

なにがおこっているのかわからないといったようすだった。

けれど、くちをはさむこともなく、ただただなりゆきをみまもっていた。

すこしくびをかしげながら、こまったようにまゆげを八の字にさげて、むっとくちびるをつきだしていた表情が印象的だった。

きっとひとりだけ知らされていなかったのだろう。

徐々にみんなが語っていく内容で『だれに』『なにを』つたえようとしているのかがわかってきたみたいで。

さいごのニノのことばには眉根をよせて瞳をうるませていたのが画面ごしにもわかった。

はなしおえたニノがちかづいてきたときにこっそりはなすふりをしてカメラに背中をむけた。

その背中にふれながらマイクをとおさずにニノがひとことふたこと声をかけていた。

となりにいた相葉くんは、おかまいなしになみだをぬぐっていて。

それに気がついた翔くんと《松本潤》がゆびさして笑っていた。

そんな３人をみたニノはくふふと笑い、腰をひきよせてそのようすをしらせる。

ちらりとみえた横顔は照明が暗くてよくみえなかったけれど。

肩がおおきくゆれて、くるりとふりむいたときにはふにゃりとした笑顔だった。

そして、５人が等間隔にならびなおり。

放送がはじまってから４０分とすこし、はじめてくちをひらいた。

『…きれーな海と、ちっちゃい灯台』

すこしだけかさついた、でもからだじゅうにとけこみそうなあまいあまい声。

わたしの五感は一気にあの夏の日にとばされた。

おでこににじむ汗。

どこまでもまっすぐにのびていそうな水平線。

よりかかった柵のあつさとぽきっと折れた木の枝の音。

そして、わたしたちの２週間。

ちいさなちいさな声でつぶやくようにつづけた。

『いいたいことはたくさんあったけど、うまくいえないなーって
ただね、おいらは宇宙にはいかれないの
ここから星をみるしかないの
ここが、いるべきところなの
ここに、いたいの
だから、』

宙の１点をじっとみつめたかと思ったら、いきおいよくぷるぷるとあたまをふり、そして、マイクをくちもとからさげるとカメラをまっすぐにみすえてくちびるだけをうごかした。

『…………』

とたんに顔をふにゃりとさせると、そのまますっと右手をのばした。

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