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そして次の日の葬式。
朝から土砂降りで、まるでこの別れを悲しむ沢山の人の涙のようだった。
沢山の人が黒い服を纏って式場に入っていく。
俺はまだ少し着慣れない制服を着て式場に着く。
中に入るとまだ式まで少し時間があって、そこにはAの母とその隣に俯いたAがいた。
痩せ細ったのか、制服が少し大きく見えた。
「Aっ…」 「式を始めます。」
声をかけようとするも、お経を読むような方が式場に入ってきて辺りは静まる。
式が終わってから話そう。
そう思って席に着く。
式はあっという間に終わった。
周りからは啜り泣く声、別れを惜しむ声が沢山聞こえてくる。
ふと辺りを見渡すと、Aが1人で立っていた。
「Aっ…!」
俺の声を聞くとハッとして振り向く君。
その後すぐにその場から走り出して、外に出て行った。
「ちょっ、待ってやっ…!」
直ぐにAを追いかけて行った。
外はまだまだ土砂降りだった。
Aは直ぐ近くにある木の下にしゃがみこんでいた。
「A…」
貴「…もうやだ…」
久しぶりに聞いたAの声は沢山泣き叫んだのか少し声が枯れていた。
貴「私も優希のところに行こうかな…」
そんな言葉を口にした瞬間
「何言うてんねん!ええ加減にせぇよ!」
貴「っ…」
「何馬鹿なこと言うとるん。優希はきっとそんなこと望んで死んだんやない。俺らがあいつの分まで生きなあかんねん。」
貴「でも、でも…」
彼女はひたすら涙を流した。
俺はAを守りたい、と思った。
"男は好きな女の子を守る。"
懐かしい声が頭に響いた。
その時自分の気持ちに気付けた。
"俺はAが好きなんや。"
優希、今度は俺がAを守る。
だから今はゆっくり休んでええよ。
俺らを見守ってな。
そう思って俺は泣いているAをギュッと抱きしめて背中をさすってあげた。
「Aのことは死なせへん、今度は俺が守ったる」
貴「っ…!死なないっ…!優希のこと忘れない、ずっとっ……!」
「うん、うんっ…」
2人は土砂降りの木の下で泣いた。
あれから優希のことを忘れたことは無い。
部活の大会当日の朝も、必ずお墓に行って頑張ってくるって伝えて向かうのが当たり前になった。
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ちょこ - 終わってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます! (2019年10月12日 22時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
ただのセンラ― - うん、好きです((本編完結おめでとうございます。過去編とかも大好きです!ネームの通りセンラーなので、こう言うセンラさんが頑張るお話大好きです。これからも頑張ってください!応援しています。 (2019年5月26日 20時) (レス) id: 48d1717d9d (このIDを非表示/違反報告)
aona(プロフ) - リス_ラさん» 本編全て読んだんですか!?嬉しすぎてリアルで驚いてしまいました…ありがとうございます!少しでもそう思っていただけれて嬉しいです!ありがとうございます! (2019年4月28日 17時) (レス) id: 99cf67e177 (このIDを非表示/違反報告)
リス_ラ - 本編完結?おめでとうございます!過去編、とても感動しました!私は1から読んでいたのですが、センラさんの推しということもあり(?)とても楽しませて頂きました!短編のほうも待ってます、応援してます!! (2019年4月28日 14時) (レス) id: 4cddf3a5c1 (このIDを非表示/違反報告)
aona(プロフ) - 美萩さん» ありがとうございます、!正直前から評価は気にせず、自分ペースで更新させていただいております。面白いと言ってくださる方がいて嬉しいです、ありがとうございます(TT) (2019年4月26日 19時) (レス) id: 99cf67e177 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:aona | 作成日時:2019年4月26日 18時