7.半年 ページ8
転校生といえども半年もすれば物珍しそうには見られなくなった。
もちろん最初の頃は友達を作ろうとしたけれど
「塔羽さんはどのヒーローが好き?」
「ご、ごめんね。その、ヒーローはあんまり分からなくて………」
そう言ってしまえば必要以上に話しかけてはこなくなる。
あの一瞬の気まずい空気が流れると、自ら壁を作り上げたも当然だ。
安心したり、モヤモヤしたりとなんて天の邪鬼なのだろう。
天の邪鬼の生まれ変わりの可能性が浮上しちゃってるよ。
しかし、そんな私にも唯一話しかけてくれるのはアキラやウィル。
人気のあまりないベンチでお弁当を食べるのが暗黙の了解となっているほど。
「Aも飯一緒に食おうぜ」
「………アキラとウィルは菩薩の生まれ変わりだと思う」
「なに言ってんだ」
「たまに変な事言うよね、Aって」
「いやそんなに一斉攻撃してこなくても良くない？」
この二人に対しては普通に話せるようになった。
それでも、特定の質問をされると困るのは相変わらずで。
「なぁ、そろそろマントの中俺らに見せてもいいんじゃねぇの?」
「………………また今度、機会があったら」
「……それ何回目だよ」
「アキラ」
アキラが私の目の前に立つ。
それをウィルが困り顔になって座るように促した。
それはいつもの事、で終わるはずだったのにアキラは座らない。
「そんなに嫌かよ」
「………………………」
彼の目は怒りじゃなくて、ただただ真剣に問いかけてくる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 80人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：魔ゼロ | 作成日時：2020年11月19日 23時
