【エリオス】黒い羽を青空に。 (ページ13)

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11.時間ページ13

どんなに心が苦しくなっても時間は進んでいく。それと同時に記憶も薄れていく。
それが当たり前だ。

アカデミーを卒業に控えた年。
両親とこれからについて話した。

「そうかぁ。Aもヒーローになりたいのか。確か、昔、言ってたもんな。なりたいって」

「そうだったっけ?」

「お父さんが現役だったら一緒に活躍するところ見れたわね」

「お父さんはサポートだからまだ一緒に活躍できるぞ!」

ヒーローになる理由は正直な所、ないと言うよりか、分からない。
ただ"ならないと"と思ったから。
今、振り返ると本当に不思議だと自分でも思う。

「まだ受かるか分かんないけどね」と嬉しそうな両親に言う。
………もしかしたらお父さんと一緒に仕事したいと思ったからかな?
一応、そうだと納得して寝た。

・

テレビでヒーローが皆を助けてる姿が映る。

"わ、私もなれるかな……?"

"なれるさ!優しいAならヒーローになれる!!Aはどんなヒーローになりたい?"

"私は＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿"

・

目覚ましを止めて起き上がる。
卒業式も無事に終わり、選抜試験も合格して、今日は入所式。

あっという間だな。
そう思いながら身支度を整える。
ふと、鏡に写る翼を見た。

ヒーロー能力を手に入れてから、成長した。
そりゃそうか。
ヒーロー能力が"翼を操る"なら仕方がない。
嫌いなものが役立つようになったのが少し癪だけれど。

逆に今まで飛べなかったことが可笑しかったんだろうな。

誰もいない部屋に「いってきます」と言って外へ出た。