【エリオス】黒い羽を青空に。 (ページ12)

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10.5.如月レン　(キャラの口調が心配です) ページ12

塔羽Aはあんな風に笑う奴だったろうか。

初めて会ったあいつは、なぜか怯えて挨拶してきた。
その時、笑った顔を今でも覚えてる。

「(姉さんみたいだった)」

見た目も雰囲気も何もかも違って、姉さんに会ったことすらないはずなのに、あの笑顔だけは姉さんに似ていた。

一瞬の事だったから、勘違いだったかもしれない。
でも忘れる事がいつまでも出来ない。

そんなあいつが今では、無理やり笑っている。

理由なんて簡単で、あの二人と絡むことがなくなったからだろう。
ウィルに聞いても、辛そうな顔をするだけで何も答えない。

他人のことなんてどうなってもいい。
そう思っても、どういうわけかあいつの初めて会った時の笑顔がちらつく。

本人に笑う顔が嘘くさいと教えてやっても、まだやめない。

何があいつをあそこまで追い詰めるのかが分からない。
だが、理解しようとも思わない。
理解した所で、何かが変わるわけでもないんだろう。

俺がそうだから。
あの時の笑顔はもう一生見れないかもしれない。
そう思うほど、あいつの表情は偽物だらけだ。