コート場の帝王１４【○○○！！】 (ページ7)

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帝王 638 ページ7

「ッシャ！」

「ナイスフォロー！」

東峰「返ってくるぞ！」

烏野サーブ、椿原は乱されてワン・ツーで返球しそれを澤村が綺麗にレシーブした

黄色のハチマキを翻す椿原の前衛はMBが2枚に、守備もピカイチなWSが1枚

合計3枚の壁が烏野の前に立ち塞がっている

舞子「(10番だけに意識を向けるなっ)」

当間「(綺麗にレシーブされた美味しい場面ッ)」

岩室「(俺がセッターなら選んでる！)」

────帝人 A…ッ！！

彼らの答えは1つ

“絶対にあの1年セッターは【怪物】を使う”

勘とか第六感とか、そんなフワフワした甘っちょろいものじゃない

これはあれだ

これまで強い相手と何度も戦ってきたからこそ分かる、根拠も無ければ名もない確かな“自信”

『(キュキュッ)』

体育館を擦るシューズの音

そこまで身体に厚みがある訳でもないのに、背負う威圧感は今このコートに立つ誰よりも強く重い

ドンッ、体育館の床を蹴りあげ高く高く空へと羽ばたく

真っ黒の大きな翼

影山「Aさん！(ふわっ」

舞子「(止める！)」

当間「(何としてでも…ッ)」

岩室「(こっちは椿原最強のブロッカー3枚！)」

力強く飛んだ1匹の美しい烏の前に立ちはだかる壁

「絶対に通さない」

その強い意思が指先まで込められているのが分かる

『(あぁ、幸せだな)』

楽しい、嬉しい、快い

そんな正の感情がいっぺんに胸の内で踊っているよう

紛う事なくこの一瞬を“幸せ”と断言出来る

背中を押してくれる仲間の想いも

向き合うブロッカーからの強い敵対心も

観客からの火傷しそうな程に熱い視線も

『(全部全部、…心地好いと思うよ)』

時にすれば刹那

しかし彼を見つめる者達には、それはスローモーションのように感じられた

「(ガガンッ！)」

舞子・当間「「ッ、」」

岩室「？！(う、そだろ…ッ！？)」

舞子と当間の腕を弾き、コートに叩きつけられたボール

トン、と地面を跳ねた瞬間東京体育館は轟いた

実況「ひ、左ぃ！遂に出ましたニュースタイルッ」

解説者「やっとお目にかかれましたね～」

実況「西の古都(京都)に消えた光、しかし東の杜の都(宮城)から復活し輝きは再び戻って来るッ！」

太陽が必ず西に沈むも東から昇ってくるように

この美しい青年も懐古の地へと返り咲いたのだ

───大切な仲間と共に。