コート場の帝王 １３【○○○！！】

帝王 番外編8 ページ47

『えッ牛島さん！？』

牛島「だ、大丈夫だ…ッ」

『いやそれ絶対大丈夫じゃないやつ！』





普通の男子高校生よりも身長・ガタイと大きい牛島


自分のサイズ感を忘れてしまう程焦り、勢いよく退いたのが悪かった

2段ベッドの枠の部分に後頭部を強打したのだ


うわ、絶対痛いやつ…


本人は「大丈夫」の一点張りだが、ただの痩せ我慢にしか見えない





牛島「ッ…これは、天罰だ」

『天罰？』

牛島「、お前を…無理矢理俺のモノにしようとした」





許しを乞う様に囁く牛島

彼は心の底から後悔していた



───かけがえのない大切な人を傷付けた



己の恐ろしくドス黒い感情を、聖女を具現化した様な存在にぶつけてしまったのだから




きっとこの鈍い痛みは、穢れから彼を守護する神からの雷(いかずち)





牛島「悪かっt『謝らないで』





後悔の味しかしない懺悔は、美しい声音に掻き消された


逸らしていた視線も驚いて彼を捉える





『…オレも無自覚でした』





ごめんなさい、そう言ったAは今にも泣き出しそうな牛島の頬を柔く撫でた


きっとこの人は他人の気持ちには鈍感だけど、真っ直ぐな分 気付いた時は誰よりも傷つく



今が正にそう






『貴方が嫌がる事をしてしまった』

牛島「！お前は何も悪くない」

『オレもそう思ってますよ』



だからおあいこって事にしましょ



ふんわりと春の笑みを浮かべて言った黒髪の美青年



そのまま牛島の痛むであろう後頭部に手を回し、そっと胸元に引き寄せた


彼は驚いて一瞬ビクッと固まったが、すぐに気を許してくれたようで安心した様に擦り寄ってくる





『(…こんな弱った牛島さん初めてだな)』





試合に負けた時も、理不尽に怒られた時も、目に見える程に落ち込んだ事は無かった


だから驚いた

そして、嬉しかった





『まだ痛い？』

牛島「…あぁ」

『氷持って来ましょうか？』

牛島「いらない。…俺の傍にいてくれ」

『ふふっ、はい』





彼の上半身が乗っていて苦しいけど、それも何だか愛おしく感じてしまう


きっとそれは、いつも逞しくて堂々としているこの人が オレだけには“弱さ”を見せてくれてるから



憧れではあるけど、それと同時にその“弱さ”が愛おしい







牛島「…A」

『ん？』

牛島「抱き締めてもいいか」

『…ヤダって言ったら？』

牛島「……逃がしてやる」

『ふふっ、逃がす気なんか無い癖に』

牛島「ふっ分かっているなら良い」

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