コート場の帝王 １３【○○○！！】

帝王 617 ページ26

『彼奴はオレのチームメイト』

佐久早「見ればわかる」

『同い年』

佐久早「パンフレット見たから知ってる」

『へぇ、聖臣ってそういうの見ないと思ってた』

佐久早「Aがいるチームだよ？全員覚えた」






長くなりそうだったので人気のない所に移動してきた2人




しかし何だろうか…この彼女に問い詰められて一生懸命弁明しようとするも尽く論破されていく感じは


というか、烏野の選手を全員覚えたと言ったか？

わざわざ井闥山のエースが5年ぶり9回目のほぼ無名校の選手を全員覚えたとは




常人目線からすればそれは愛が重すぎる。


メンヘラというか、彼氏の周りを随時チェックする厄介な恋人というか…






『そっか』←

佐久早「そっか、じゃない」←






そうだ。「そっか」じゃない。←


流石はA

佐久早の胸焼けする程甘ったるい想いを普通に「そっか」でスルーしようとしていた






佐久早「俺が聞きたいのはそいつとどういう関係なのって事」

『どういうも何も…友達？』

佐久早「にしてはベタベタし過ぎじゃねーの」

『えぇ…』






縁下は友達だ

親友、心友、真友、信友…


どの「しんゆう」でも当て嵌るし、同じクラス・同じ部活なので一日の半分以上を彼と過ごす


逆に仲が良くならない訳が無い








『聖臣だってオレに触るじゃん』


佐久早「…俺以外に触れられて、Aにそいつの菌が付くのが嫌なんだよ」








隣に座る黒髪の美青年の手にそっと触れる


白くて細いのに 男らしさを感じる少し強ばった指



撫でるように触れれば、ついこの間海外帰りの彼とデートし 恋人繋ぎをした事を思い出した







「春高は俺だけしか見えないようにする」







勝って、勝って、勝って…


有無を言わせない位に活躍して、隣に相応しいのはこの俺だと証明する



でもそれまでの間、どうか誰にも触れさせないで欲しい



清らかで穢れのない彼がその「誰か」に汚される事は絶対に無い


息が止まるくらい重い愛さえも全て受け止め、ただ美しい清い形に変えさせてしまうから




…でも、嫌なもんは嫌。








佐久早「…仲間でも、友達でも、Aに俺以外の菌がつくの凄いヤなの」







そっと彼の肩に頭を乗せる

ふわりと漂った柑橘系の爽やかな香りに、どうしようもなく胸が苦しくなった



「好きだな」



心の底からそう素直に思える






『くすぐったい』

佐久早「…そう？」

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