帝王 435 ページ35
侑「なるほど、一ファンとしては眺めるだけで幸せやったけど、我慢の限界になったっちゅーわけね」
星海「だって、本物の帝人さんが目の前歩いてて、目の前で練習してて、目の前で飯食ってんだぞ?!」
そんなの話しかけに行けって神様が言ってるだろ!
そう熱く語る星海は、それはそれは目が光り輝いていた。
彼はファンの一人として、私生活までも覗き見るのは何だか申し訳ない気がしていた。
その為一日目は話しかけずにいたのだが、今朝起きて食堂に入ると、やはり夢ではなく本物がそこにいた為、もう堪らなかったらしい。
そして今に至る。
『でも、さん呼びと敬語はヤダな』
星海「いや、だけど…っ」
『ね?お願い、“光来”』
星海「〜〜ッ////」
なんと破壊力のある お願い なんだろうか。
そしてサラッと自分の名前を呼び捨てで呼んだ。
あの桃色の薄い唇で俺の名前を…
星海「も、もう俺死んでもいい…」←
侑「何言ってんの光来くん!?」
星海「我が一生に一遍の悔いなし」←
侑「それは北〇の拳や!」←
そのままファー…と天に召されるかの如く、星海は幸せに満ちた表情をしていた。
それもそうだ。
自分の推しが、自分の名前を呼び、自分だけに微笑んでくれた。
文字通り、天にも昇る気持ちにもなるわけだ。
『ねぇ光来、オレのどこがいいの?』
そう質問した黒髪の美青年は音なく味噌汁を啜り、視線だけを彼に向ける。
因みに、今日の味噌汁は油揚げだ。
星海は紅い視線にことりと茶碗を置くと、そっと話し始めた。
星海「…俺Aの事、最初はあんま好きじゃなかった」
『…』
星海「背はデケェし、めちゃくちゃ強いし、俺の持ってないモン全部持ってて、何もかも恵まれてんだって
……すげぇ嫉妬した」
侑「…」
星海は背が低い。
兄や父親は大きいが、母や祖父が小さい為遺伝子的にそうなったのかもしれない。
中学時代では背が低いから、とレギュラー入り出来なかったし、高校に入っても直ぐには一軍に入れなかった。
そしてその怒りと憎しみの矛先が、何も苦労していないで欲しい物を手にしている「天才」へと向けられたのだ。
星海「でも違った」
『!』
星海「大会や雑誌で追ってくうちに、Aがどんだけの練習や逆境を乗り越えてきたのか、少しずつ分かったんだ」
そう力強く言った星海の瞳は、尊敬と敬愛に満ちた色で染まっていた。
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青めがね エレン(プロフ) - SALAさん» すぐに訂正させて頂きました!今後とも宜しくお願い致します!! (2020年8月9日 20時) (レス) id: 1d378f5d2b (このIDを非表示/違反報告)
青めがね エレン(プロフ) - SALAさん» ご指摘ありがとうございます!そこの所自分わからなくて調べたんですけど如何せん頭が悪くて…( ´;ω;` )嬉しいです!これで安心できる〜!(笑) 本当にありがとうございます!これからも宜しくお願い致します!!(これからも間違えていたらお願い致します<(_ _)>) (2020年8月9日 20時) (レス) id: 1d378f5d2b (このIDを非表示/違反報告)
SALA(プロフ) - 訂正失礼いたしました! (2020年8月9日 20時) (レス) id: 74892cdce0 (このIDを非表示/違反報告)
SALA(プロフ) - この作品大好きなので頑張って下さい!…失礼ながら訂正させていただきますが414話の「通称インターハイ」は正しくは「全中」でございます。ちなみに言いますと、高校の全国大会をインターハイ(インハイ)、大学の全国大会をインターカレッジ(インカレ)と言います。 (2020年8月9日 20時) (レス) id: 74892cdce0 (このIDを非表示/違反報告)
青めがね エレン(プロフ) - yukaさん» 嬉しすぎてハゲましたよ?一番面白いとか…あ、とりあえず昇天しますね!←これからも面白いって思えて貰えるよう頑張ります!宜しくお願いします!! (2020年7月31日 2時) (レス) id: 1d378f5d2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:青めがね エレン | 作成日時:2020年5月4日 1時