帝王 423 ページ23
侑「ちょっ、待てって!」
『……なに』
侑「俺にちゃんと説明しろ!」
食堂を出て、外に出れる入口へと向かうAを追う。
皆の視線を大いに集めていた為、彼も気を遣いこうして外に出てくれたのだろう。
12月なので昼でも外は寒いが、血が煮え滾っているせいで暑いくらいに感じる。
『…別に深い意味じゃない』
侑「その答えが欲しいとちゃう」
『んじゃなに』
やっと足をとめたのは、クレオメという花が咲き乱れた休憩所みたいな場所だった。
追いかけてきた彼に振り返ると、その表情は俯いていてどんな顔をしているかわからない。
少し威圧気味に名を呼ぶと、ゆっくりと徐に上げた。
合わさったその瞳は
侑「…なぁ…ちゃんと説明してくれんと…俺、…」
───俺、…飛雄くん殺してまうかも
どす黒く塗りつぶされていて
侑「なぁ…、どうゆうことや…A……」
淀んで濁った池のような瞳に素直に 怖い と思った。
全神経を彼に注ぎ、少しの変化も見逃さないようにする。
…じゃないと、本当に「影山」を殺してしまいそうだったから。
あぁ、気味が悪い───
…それと同時に、この「宮侑」という男をとんでもなく愛おしいと思ってしまった。
『侑、おいで』
侑「…うん」
素直に彼の両腕の中へ入りそっと胸元へ身を寄せる。
低めの体温が心地よい
彼の優しい香りが、ぐちゃぐちゃに掻き乱した心を解いてくれる
まるで、罪や穢れを全て洗い流される気分だった。
『…影山には、俺の相棒はこの先もお前がいいって言っただけ』
そんで先輩の入れ知恵で勝手に「女房役って事ですね」て捉えたの、と言ったAは少し下にある頭を撫でる。
すると侑は、胸元に押し付けていた顔を上げ口を開いた。
侑「…言っただけて……“Aはずっと俺だけのモン”て約束したやん…」
『でもその約束はオレに勝ったらだろ?』
侑「そうやけど……Aの奥さんは俺がなりたい…」
弱めに掴まれたTシャツにシワが寄った。
恐怖を与えた黒は普段の錆利休色に戻り、ゆらりと哀しみに揺れる。
『…なぁ、侑』
侑「…なに」
ふと視線を逸らした黒髪の彼は足元で咲く花を見つめていた。
そして静かに呟かれた次の言葉が、今まで生きてきた中で1番の衝撃だった。
──ホントにオレのお嫁さんになる?
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青めがね エレン(プロフ) - SALAさん» すぐに訂正させて頂きました!今後とも宜しくお願い致します!! (2020年8月9日 20時) (レス) id: 1d378f5d2b (このIDを非表示/違反報告)
青めがね エレン(プロフ) - SALAさん» ご指摘ありがとうございます!そこの所自分わからなくて調べたんですけど如何せん頭が悪くて…( ´;ω;` )嬉しいです!これで安心できる〜!(笑) 本当にありがとうございます!これからも宜しくお願い致します!!(これからも間違えていたらお願い致します<(_ _)>) (2020年8月9日 20時) (レス) id: 1d378f5d2b (このIDを非表示/違反報告)
SALA(プロフ) - 訂正失礼いたしました! (2020年8月9日 20時) (レス) id: 74892cdce0 (このIDを非表示/違反報告)
SALA(プロフ) - この作品大好きなので頑張って下さい!…失礼ながら訂正させていただきますが414話の「通称インターハイ」は正しくは「全中」でございます。ちなみに言いますと、高校の全国大会をインターハイ(インハイ)、大学の全国大会をインターカレッジ(インカレ)と言います。 (2020年8月9日 20時) (レス) id: 74892cdce0 (このIDを非表示/違反報告)
青めがね エレン(プロフ) - yukaさん» 嬉しすぎてハゲましたよ?一番面白いとか…あ、とりあえず昇天しますね!←これからも面白いって思えて貰えるよう頑張ります!宜しくお願いします!! (2020年7月31日 2時) (レス) id: 1d378f5d2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:青めがね エレン | 作成日時:2020年5月4日 1時